いたる所でお馴染みの山菜と言われる「ヨモギ」ですが、都会育ちの私には馴染みが薄く、どれがヨモギなのか分かりませんでした。
「これがヨモギだよ」と、山菜取りのワークショップで教えられる。
上の方をちょっと摘んで 手の中で擦り合わせる。
「匂ってみて」
ん・・なんかハーブっていう感じの独特の匂いがする。
体で教えてもらいようやく分かる。
葉の形が羽状に深く裂けていて、葉の裏が白い。
これがヨモギか。
追記:
犬の散歩等で歩くことが多いのですが、実はヨモギって近所の公園や道路脇にも普通に生えていました。
生えてさえいればだいたい群生していますので、これがヨモギって分かればヨモギを採取するのはとても容易な素材です。
ヨモギは用途が広く、若葉からはお灸の艾(モグサ)、白い綿毛をかぶった早春の若芽は草餅に使い、晩春の伸びた茎の先は天ぷらに、
また、入浴剤としても利用できます。
そんなヨモギをたくさん採ってきて今日は布を染めてみました。
出来上がりは若草色と言われるような黄色が強い緑系の色になります。
あまりにもよく染まりうれしくなりました。
雑草のように思えたどこにでも生えている草で 糸や布がこんな色に染まるなんて。
これが自然の色。
自然の色ってすごい。 自然ってすごい。
草木染は感動と、そして感謝です。
一番下の写真のストールがヨモギ染めしたものです。
ヨモギで布を染める
染めたいものを用意します。
せっかくの草木染ですので、染めるものも天然素材がおすすめです。
今回私は麻のストールを染めてみました。
用意するもの
- 染めたいもの
- ヨモギ (染めたいものの重さ×2倍の重さの量が必要です)
- みょうばん (染めたいものの重さx10%~20%くらい)
- 無調整豆乳、または濃染剤カラーアップ
- 大きな鍋
- 中くらいの鍋
- バケツ
- ざる
- ゴム手袋
- 菜ばし
私が使った分量は麻のストールが200g(乾いた状態)
ヨモギ400g(ストールの重さ200g×2)
みょうばん40g(ストールの重さ200gx0.2)です
下準備
濃染処理をする
染めるものを一度洗って乾かしておきます。
調整されていない普通の豆乳に布を20分から30分つけ、その後、硬く絞って天日で乾かします。
↑この作業を濃染処理と言います。
植物性繊維の綿や麻は、大豆などのたんぱく質で処理することで植物のもつ色との相性が良くなり濃い色に仕上がります。
ほんとうは、一晩水に浸けてふやかした大豆をミキサーにかけて作った「呉汁」(ごじる) を使うのですが、ここは市販の豆乳で代用できます。
横着な私は染料店で売られている濃染効果No.1といわれる「濃染剤カラーアップZB」を使いました。
染料液をつくる
ヨモギの場合、地上に出ている茎と葉がすべて使えます。
採ってきたヨモギには虫や埃がついているので、一度軽く水で洗い虫を逃がしてあげます。
採ってきたヨモギを中くらいの鍋に入れ、葉っぱの半分くらいまで浸かる位の水を入れ、火にかけます。
しばらくしたら菜ばしでかき混ぜて葉っぱ全体がお湯に浸かるようにし、沸騰したら弱火で20分くらい煮出します。
大きい鍋にざるをかぶせ、そこに鍋の中身を入れて濾します。
※熱いので気をつけてください。
大きい鍋に染めたいものがゆったり浸かる程度の量のお湯を注ぎ足します。
ざるに上げたヨモギは、ゴム手袋をして最後の一滴まできちんと絞ります。
絞り終わったらヨモギに感謝をして、できればまた自然に帰してあげます。
これで染料液のできあがりです。
いざ染めます
染めたいものを大きな鍋に入れ、落し蓋をします。
※布が空気に触れる部分があるとムラになるので 落し蓋があると便利です。
なければクッキングペーパーか、アルミホイルに穴を開けたもので代用します。
大きめの鍋に移した濾した染料液をもう一度火にかけます。
沸騰したら弱火にし、5分くらいで火を止めて冷めるまで30分程度置いておきます。
媒染液を作ります
中くらいの鍋に布がたっぷり浸かる程度のお湯(今回は2ℓ用意しました)に、布の重さの10~20%のみょうばん(今回は40g使用)を入れ、菜ばしでかき混ぜ、溶かします。
↑媒染(バイセン)は化学反応を起こして、より染まりやすくする作業です。
みょうばんを使った「アルミ媒染」の他にも「鉄媒染」や「銅媒染」があります。
同じ素材で染めても媒染方法によってそれぞれ色の発色が違ってきます。
媒染方法について
「アルミ媒染」は、一番素材の色に近い色に染め上がります。
「鉄媒染」は、黒っぽい色に染まります。しばらく鉄の臭いが取れません。
「銅媒染」は、アルミ媒染に比べて少し茶色がかった感じに染まります。
30分後・・
鍋から引き上げ、バケツにはった水の中で洗い、絞ります。
※あまりきつく絞り過ぎないよう注意してください。
さきほど作っておいた「媒染液」を火にかけ温めます。
フツフツ泡が出はじめたら火を止めて、染めたいものを入れます。
端からそっと入れ、まんべんなく液に浸けます。
たまにゆっくりと揺すり、まんべんなく染み渡るようにします。
15分くらいしたら鍋から引き上げ、バケツにはった水の中ですすいで絞ります。
ここでも あまりきつく絞り過ぎないよう注意してください。
再び煮染め
先ほどの大きい鍋の「染料液」を再び火にかけ温めます。
沸騰したら布端からゆっくりと入れ、まんべんなく浸します。
弱火にして5分くらい浸しておきます。
その後、火を止めて30分くらい冷めるまで置いておきます。
30分経ったら上の〈30分後・・〉の工程に戻り、好みの色になるまで〈30分後・・〉の工程と〈再び煮染め〉の工程を繰り返します。
最後は必ず煮染めで終わらせます。
最後に
いい色に染まったら染料液から引き上げて、バケツにはった水の中で、水を替えながら水に色がつかなくなるくらいまで何度も何度も洗います。
※色が落ちてしまいますので、蛇口から出る水でそのまま洗ったりしないでください。
また、洗うときに布と布を強く擦り合わせて洗わないでください。
最後に洗濯機の脱水のみのコースで2~3分程度、脱水にかけます。
脱水が終わったら広げて陰干しして出来上がりです。
お洗濯方法
しばらくは色が移る可能性がありますので、他のものと一緒に洗わないようにします。
できれば手洗いで、あまり布どうしを強く擦り合わせて洗わないようにします。
手洗い後に洗濯機で脱水し、影干しをします。
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