ファスナーの付け方 超入門・写真とイラストで詳しく解説!

裁縫のTips・コツや使い方など

今回は座布団カバーのファスナー付けの流れを紹介しますが、バッグや小物、ポーチなどでも基本的には同じやり方でできます。

ファスナー付けは難しそうで敷居が高く思われがちですが、実際にやってみると、工程が多いだけで、やること自体はそんなに難しいことではありません。
ゆっくり確実にやれば誰でも必ず付けることができます。

ファスナー付けを覚えておくと、市販されている小物やバッグのようなちょっと本格的なものが作れるようになるので、ぜひトライしてみてください。

ファスナー付の座布団カバー
ファスナー付の座布団カバー出来上がりイメージ
出来上がりイメージ

今回のファスナーは上の写真ような感じにできあがります。

すべてミシン縫いで仕上げるファスナー付け

※これから取り付けるファスナーは、下の写真のような一般的な片開きファスナーです。
コンシールファスナーやオープンファスナーではありません。

ファイル 2016-06-01 16 59 11

洋裁学校では、ファスナーを手縫いで仮縫いする方法を習いました。
この方法は正確に付けることができるので初心者さんに向いている半面、ファスナーの生地部分が固くて手が痛くなるのでファスナー付けの枚数が多い場合には、ちょっといやになってしまいます。

また、他のサイトでご紹介されている方法も試してみましたが、近道に見えてじつは遠回りだったりして、かなり難易度が高く思えました。
今回、私がご紹介する方法は、「量産に向いている手縫いがない全てミシン縫い」で仕上げる方法です。

これまで3回の記事に分けてファスナー開きのある座布団カバーを作ってきました。
今回はファスナー開きのある座布団カバー製作の最大の山場「ファスナー付け」の詳細を記事にしてみました。

#1.生地に印をつけて「ファスナーの開き止まり」に「伸び止めテープ」を貼る

ファスナーの開き止まりとは・・?

ファスナーを見てみると、下の写真のように上と下にこれ以上下がらない、上がらないよ。という石が付いています。
金属やプラスチックの四角いもので、この四角いものをファスナー止まり、またはファスナー開き止まりといいます。

ファスナーの開き止まり

伸び止めテープとは・・?

接着芯地を縦方向に細長くカットしたもので、のび止めテープ、ストレートテープという商品名で販売されています。
白と黒の2種類ありますのでお持ちの生地の色に合わせて選んでください。

印付け~伸び止めテープ貼りに必要なもの

・長い定規(または巻尺)
・まち針
・チャコペン
・アイロン
・当て布(さらしが良いですが、なければ使い古したハンカチなどでも)
・アイロン台
・使用する生地
・使用するファスナー
・伸び止めテープ(1.5cm幅のもの。なければ1cm幅でもOK)

#1-1.生地に印をつける

チャコペンで印を付けるときは、薄すぎず濃すぎずに注意してつけましょう。
洗濯すれば落ちるのがチャコペンですが、濃くつけてしまうと洗濯してもなかなか落ちません。

チャコペンは、なるべく生地に馴染む色を使用します。
なぜならチャコペンの跡が残っているものは、手作り感が出てしまい、出来栄えが悪く見えてしまうからです。例えば、白い生地なら黄色、ベージュの生地なら白か黄色、赤い生地には白かピンク。といった感じで目立たない色を選んでいます。
これは、どんなものの製作時にも当てはまりますので、私は生地の色に合わせて使えるよう、常に何色か持つようにしています。

#1-2.ファスナーの開き止まりのしるしを付ける

ファスナー付の座布団カバーつくり方1

それではこれから「ファスナー開き止まりのしるし」4箇所、「伸び止めテープを貼るしるし」を4箇所、全部で8ヶ所のしるしをつけていきます。
まずは「ファスナー開き止まりのしるし」4箇所の内、2箇所をつけます。
下の図1を参照していただき①と②のしるしをつけてください。

上記のイラストのstep4の①から②の長さが、ファスナー開き止まりの長さになります。
ちょうど真ん中にファスナーを配置したいために、このような手順が必要になってきます。

step1:
生地を折り畳んだときに表が中になるように、生地の長いほうを合わせて二つ折りにします。(畳んでつながっている辺を、輪(わ)と言います。)

step2:
輪に垂直に、さらに二つに折り畳みます。

step3:
step2で折った輪の部分の上部(輪と輪の重なる部分ではない方)にまち針を刺して、中心が分かるようにします。

step4:
step3で折り畳んだ分を一段階分、広げます。先ほど測っておいたファスナーの開き止まりまでの長さを二等分になるよう計算し、生地の中心(まち針を刺している位置)から左右に、二等分になるよう計算した数値をそれぞれ測って、チャコペンで生地の裏面にしるし(①と②)を付けます。

ファスナー付の座布団カバーつくり方2

step4は分かりにくいので、下記イラスト(図2)に実際の寸法をあてはめてみました。
たとえば今回使用したファスナーは40cmですので、それを二等分になるよう計算すると、下のイラストのように印をつけることになります。

今つけた図の①と②の印は「ファスナーの開き止まりのしるし」で、ファスナーの始めと終わりを示す印です。

#1-3.伸び止めテープを貼るためのしるしを付ける

ファスナー付の座布団カバーつくり方3

次はその両側に「伸び止めテープを貼るためのしるし」4箇所の内、2箇所を印付けします。下の図3を参照していただき③と④のしるしをつけてください。

step5:
①の1.5cm外側に③の印をチャコペンでしるし付けします。

step6:
②の1.5cm外側に④の印をチャコペンでしるし付けします。

片面のしるし付けはこれで終わりです。

#1-4.ひっくり返して裏面にも同じようにしるしをつけます

ファスナー付の座布団カバーつくり方4


おもての面に4箇所しるしをつけ終わりましたら、ひっくり返して同じように4箇所、「ファスナーの開き止まりのしるし2箇所」と「伸び止めテープを貼るためのしるし2箇所」を付けます。

step7:
上の図4のように生地をひっくり返し、もう片面に印を付けます。
step4と同様に、ファスナーの長さを二等分した長さを中心から測り、印を付けます。

ファスナー付の座布団カバーつくり方5


step8:
上の図5のようにstep5,6と同様、⑤の印の1.5cm外側に⑦の印を、⑥の印の1.5cm外側に⑧の印をそれぞれチャコペンで印します。

お疲れさまでした。
これで印付けはできました。

※今回は初めてのファスナー付けですので、しるしを全部で8か所入れました。
2回目以降、慣れてきたら⑤番⑥番のしるしは省略し、+1.5cmで⑦番⑧番の印付けをすることもできます。

#2.伸び止めテープを貼る

伸び止めテープは、ストレートテープとも言います。
伸び止めテープを貼る工程はとても地味なので省略したくなるかもしれませんが、実はとっても大事な工程です。

なぜ伸び止めテープを貼る必要があるの?

別の記事で「伸び止めテープ」のことを詳しく書いていますのでよろしければ参考にしてください。
「図解」伸び止めテープの使い方と上手に貼るコツ

#2-1.アイロンを使い、伸び止めテープを2箇所に貼ります

DSCF8239_1

※アイロンは生地に合わせた温度で温めておきます。

伸び止めテープには裏表があり、糊がついている面がきらきらきらしています。
きらきら面を生地に合わせ、必ず上から当て布をしてアイロンをかけるようにしてください。
※当て布をしないと、テープからしみ出た糊がアイロンに付着し、アイロンが大変なことになってしまいます!

ファスナー付の座布団カバーつくり方6

図6を参考に、さきほど印をつけた外側から外側の印まで、③から④までと、ひっくり返して⑦から⑧まで
伸び止めテープを2箇所に貼ります。

伸び止めテープは縫い代部分を強化するために貼るものですので、布端から少し離して貼ります。
1.5cm幅の伸び止めテープを使用する方は、布端から5mmくらい離します。
縫い代幅が1.5cmですので、5mm離して貼ることで縫い代に伸び止めテープがかぶります。
1cm幅の伸び止めテープを使用する方は、布端から1cmくらい離すようにします。

一箇所につき30秒ほどアイロンを当てたら接着できていると思いますので、少し冷ましてからしっかり貼れているか確認します。(四隅と端がめくれなければOKです。)

#3.布端からファスナーの開き止まりまでをミシンで縫う

ファスナー付の座布団カバーつくり方7

ここでは前回しるしを付けた、ファスナーの開き止り(内側の印①、②番)までを布端から縫います。
縫う場所は、下の図8を参照していただき布端から①番までと、②番から布端までの2か所です。

まず生地を中表(中側が表になるよう)に、二つ折りに畳みます。
縫い代幅は1.5cm(布端から1.5cm内側)、縫い目の大きさは、ミシンの設定で3くらい(中くらい)にします。
最初と最後は返し縫いをします。

DSCF8309_1

これを1枚につき、左右2箇所(①番までと②番まで)縫います。

仕上がりはこんな感じ↑です。

ミシンで縫う前によろしければこちらもご参考ください。
ミシン糸の選び方-生地に合ったミシン糸を探す方法-

#4-1.縫い代を割る

ファスナー付の座布団カバーつくり方8


まず上の写真のように縫い代を二つに割って、アイロンで跡をつけます。
縫われている部分はかんたんに割れるのですが、まだ縫われていない部分を割るのはちょっと難しいので、下の図のようにまち針で留めるとアイロンがかけやすくなります。

※割り幅が2cmや1cmになったりしないよう、できるだけ均等に1.5cmにまっすぐ割ります。

なぜ1.5cmに均等にする必要があるのか?ですが、
この後の工程で、ここで割った縫い代に合わせてファスナーを縫い付けていきます。
たとえば割った縫い代が真ん中くらいで2cmになっていてそれに合わせてファスナーをつけたとしたら、出来上がりは真ん中で少しファスナーが見えている仕上がりになってしまいます。

今度は逆に真ん中くらいで1cmくらいに割った縫い代は、出来上がりは真ん中で生地が被ってもたつきます。ファスナーを縫い代に合わせて微妙にずらしたら?という方がいるかもしれませんが、そちらの方がずっと難しく、ややこしくなってしまうように感じます。

均等に縫い代を割ることで、出来上がりの見栄えが良くなり、ファスナー付けがシンプルになります。

ファスナー付の座布団カバーつくり方9

アイロンを使うとしっかり跡がつき作業しやすくなりますが、面倒な場合は、指や爪でしごくようにしても跡がつきます。「手アイロン」と呼ばれる裏技です。
慣れてきたらこれでも十分だと思いますが、初めのうちはアイロンを使用した方が分かりやすく、作業もしやすいと思います。

#4-2.しるしを付け直す

ファスナーを仮止めするために、ファスナーの開き止りにまち針を指し、印を付けます。
※縫い代を割ってしまうとチャコペンの印が見えなくなってしまうので、ファスナーの開き止まりにまち針で印をつけます。

ファスナー付の座布団カバーつくり方10

下の図9のように縫い代をめくり、印の箇所を見ながら上から①と②の二か所の印にまち針を刺します。

#5.ファスナーを仮止めする

下の図10を参考にファスナーをしるしに合わせて置いてから、まち針で仮止めしていきます。

ファスナーの付け方

まずファスナーの持ち手(引手)部分がおもてに出るようファスナーを裏返して置き、ファスナーの上止(あたまの部分)を①番のまち針に、ファスナーの下止(おしりの部分)を②番のまち針に合わせて置きます。

ファスナーを置いたら、縫い代(割ったところ)にまち針で仮止めします。
下の写真のようになります。

ファスナーの付け方2

この時の注意点は、縫い代部分(割ったところ)だけに仮止めすること。(下の生地にまち針を刺さない)
ちょっと分かりづらいですが、こんな感じ↓になっています。

DSCF8313_1

#6.ファスナーを縫いつける(裏側)

仮止めしたファスナーのテープ部分を、ミシンで縫いつけます。

ファスナーを縫い付ける

今回のやり方では、ファスナーのテープ部分の裏側と表側の両面から縫い付けます。このようにファスナーの裏側も縫うことで、出来上がったときに裏で縫い代がビラビラなってしまうのが防げます。
本当は、まつり縫いで仕上げるともっときれいに仕上がりますが、ファスナーの生地が固いので枚数が増えると大変です。
下で説明する方法のようにしてミシンで縫えば簡単ですし、手をかけた分、作りも良く見えます。

実は、量販店などで販売されている座布団カバーのほとんどは、ファスナーの裏側まで縫われていません。けれど手間と時間をかけられ、心地よく使えるよう工夫できるのも手作りの良いところだと思います。
それに、このあと同じような手順で表から縫うのですが、いきなり表から見えるところを縫うって緊張します。この場合、表から縫う前に見えない裏で縫うので良い練習になります。
少しの手間ですので、是非行ってみてください。
 

ミシンの縫い目は5くらいのやや粗めに設定します。
下の図11のように、縫い代だけに縫いたいので、縫い代以外の部分はよけておきます。
最初と最後は返し縫いです。

ファスナー付の座布団カバーつくり方10

ミシンで縫えたところから順に、まち針をはずしていきます。

縫っていると途中でファスナーのスライダー部分が邪魔になりますので、ファスナーの真ん中くらいでスライダーを避ける作業を行います。
手順は以下の通りです。

※ファスナーのスライダーの部分を避けずにそのまま縫おうとすると、絶対にうまく縫えません!下記の方法で避ければ、きれいにファスナーを付けることができます。

DSCF8315_1
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1:針をさしたまま、押さえを上げます。
2:生地をくるっと横向きにします。

3:ファスナーのスライダーを移動させます。
4:生地を戻し、押さえを下ろします。

ファイル 2016-06-06 22 58 51

縫い終わりましたら、もう片方も同じように途中でスライダーを避けながら縫います。
下の図12を参考に、片側も縫いましょう。

#7.ファスナーを縫いつける(表側)

ファイル 2016-06-06 22 33 50

最後に、生地をひっくり返して表からぐるっと一周ファスナーのテープ部分を縫い止めたらファスナー付けは完成です。
下の図13を参考に、縫っていきます。

生地が輪っかになっていますのですこし縫いにくいですが、下の生地まで一緒に縫ってしまわないよう、ゆっくり注意して縫っていきます。

まず、ミシンの縫い目の設定を3に変えます。

全て5mmで縫いますので、片側5mm巾のファスナー押さえをお持ちでしたら、押さえを変えてください。
押えの巾で縫えばいいだけなので断然やりやすくなります。
私も5mmの押さえを使用しています。
無い場合は、ファスナー用の片側押さえでも大丈夫です。

ファイル 2016-06-06 22 59 06

縫う順番は下の図14の通りです。

①から縫い始め、返し縫いは不要です。最後の⑤を①に重ねることで返し縫いになります。
②番と④番の真ん中に差し掛かったら、先ほど裏を縫った時と同様にファスナーのスライダー避けながら縫います。

ミシンで直角に縫うコツを別の記事で紹介しています。
ミシンで直角に縫う方法・角をしっかり出す3つのコツ

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こんな感じに縫いあがります↓

ファスナーの縫い上がり

裏はこんな感じになっています↓

#8.最終チェック

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一度、端から端までファスナーを移動させてみて不具合がないか確かめます。
万が一、引っかかるところがあってもそこだけほどいてもう一度縫い直せばいいので大丈夫です。

うまくファスナーが動くようなら、これでファスナー付けは完成です。
お疲れ様でした!

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コメント

  1. ゆか より:

    初めまして。こちらの記事を読んでファスナー綺麗につけられました。
    ファスナー付けは自分にとってひとつの難関だったので嬉しいです!
    写真付きの細かいご丁寧な説明、ありがとうございます。

    • kiyo より:

      多くのブログサイトから当サイトをお選び頂きありがとうございます。
      私にとってもファスナーは難関でした。
      記事が参考になったようで嬉しいです。コメントありがとうございました!

  2. ゆはーん より:

    ファスナー付けの記事色々読みましたが、この記事が一番分かりやすく、綺麗に仕上がりました!
    これからもっと裁縫が楽しくなりそうです♪
    丁寧で誰にでも分かりやすい解説どうもありがとうございました!(^^)

    • kiyo より:

      多くのブログサイトから当サイトをお選び頂きありがとうございます。
      うまく出来上がるとお裁縫って本当に楽しいですよね。
      私の原動力にもなります。嬉しいコメントありがとうございました!

  3. 山田 より:

    大変分かりやすく感激しました。
    あまりにうれしいので、コメントします。
    家庭科1だった私でも理解できる解説をありがとうございます。

    • kiyo より:

      多くのブログサイトから当サイトをお選び頂きありがとうございます。
      うまく作れたようで、良かったです。嬉しいコメントありがとうございました!